下町スプールが届いた!【18アンタレスDCMD】
下町スプールの誕生
うちのブログに遊びに来てくれた 逆張りメロンさん
彼が一年以上の情熱を捧げ、大田区の工場で削り出された高精密・超軽量 DCスプールで、世界初のカスタムDCスプールが誕生しました。
そんな巷で話題になっていた「下町スプール」を予約していました。
製品版が完成し自宅に届きましたので、ファースト・インプレッションを行いたいと思います。
下町スプール【Revスプール】の詳細については 逆張りメロンさんのサイトをじっくりご覧ください。
Revスプールの種類
18アンタレスDCMDや、18~19カルコンDC 200の 200番リール(38mmΦ-22mm幅スプール)に対応しています。
- TypeA レーシングスペック
糸巻量: PE2.0-100m (50番サイズ?: ナイロン10lb-100m)
最も肉薄のフィネススプール - TypeB ミドルスペック
糸巻量; PE2.0-160m (150番サイズ: ナイロン16lb-100m)
中厚のシャロースプール - TypeC パワースペック(標準DCMDスプールと同じ)
糸巻量: PE2.0-210m (200番サイズ: ナイロン20lb-100m)
最も肉厚
Revスプールには 現在 3種類のスプールがあります。
糸巻量に合わせ、肉厚を変更しているので TypeAが最も軽量なスプールになります。
自分が購入したのは、実用と飛距離のバランスの取れた 150番サイズのミドルスペック TypeB(PE2.0-160m) を予約購入しました。
箱出しの何もつけてない状態で 9.3gと圧倒的に軽いです。
シマノ DCブレーキとは
ココで、DCブレーキについて、おさらいしてみましょう。
この動画は非常に分かりやすく説明しているので、これを参考にしてみましょう。
DC(デジタルコントロール)ブレーキは、ラインの放出状況、つまりスプールの回転変化を瞬時に感知し、ブレーキをデジタルで制御します。
ブレーキの強弱を瞬時に調整できるため、驚異の遠投性能と対バックラッシュ性能を実現しました。
例えば、スプール回転が急上昇するリリース直後はほぼノーブレーキで、回転がピークに達したところでブレーキ力が急激に立ち上がり、その後は必要最小限のブレーキ力を適宜加える…といったコントロールを自動的に行い、飛距離を大幅に向上させることができます。
また、向かい風による失速など、スプール回転数にイレギュラーな変化を検知した場合には、瞬間的にブレーキ力を強めてバックラッシュを回避。
さらに「最後のひと伸び」を確保するためにブレーキ力を断続的にゆるめたりと、従来のシステムでは考えられない高度な制御を自動で行う、最先端のブレーキシステムです。
DCユニット基盤の中には銅製のコア無しインダクタ(コイル)が複数(5個?)入っていて、ユニットの内側には、スプール芯に取り付けられたマグネットによって発電した電気(電流)を蓄えます。
難しそうですが、昔の自転車の前輪に付いていたライト用のダイナモ(発電機)と同じ構造です。(中で磁石回してます(笑))
ブレーキ作動時には、その蓄えた電気(電流)をインダクタ(コイル)に流します。
動画の画像から インダクタ(コイル)に流れる電流に、アンペアの「右ネジの法則」*1を当てはめるとスプールに対しての外側方向に磁界が発生します。
コイルから発生した磁界の中を、スプールに取り付けている磁性体であるブレーキ・リング(SUS400系?)が通り抜ける事により抵抗が掛かりブレーキとなる仕組みです。
ブレーキ・リングだけではなく、通電したコイル内側はS極になるので、マグネットのN極が引っ張られ抵抗となり、コイルの内外からもブレーキを掛ける事が出来ます。
これ等の動作をマイクロコンピュータを用いて、短い時間(1/1000秒)で切り替えて制御しているのです。
言い換えれば、学生の頃にならったフレミングの「右手の法則」と「左手の法則」を瞬時に切り替えているんですよね。この回路設計した人は凄いですね。
DCユニットの弱点は、機構が複雑でスプールの中心部に重いマグネット(5g)と金属のブレーキ・リング(1g)の二つ(計6g)の重量物を組み込まなければならず、スプールの重量増加と、糸巻量が少なくなり深溝スプールが作成できない構造になってます。
その結果、軽量ルアーは投げにくいスプールとなります。
スプールの中心には、特殊なマグネット(両面8曲マグネット)を使用している為、各チューニングメーカーさんも、DCリール用のスプールを制作していない最大の理由になります。
製造元のシマノでさえ、夢屋から DCブレーキリールのスプールバリエーションを出さないですから...
これは逆張りメロンさんも懸念している点ですね。
また、PEラインを用いたキャスティング用途だと、DCブレーキの制御が強すぎて飛距離が出ないジレンマに陥りやすいですね。
構造さえ理解できれば、DCブレーキを弱める方向にチューニングする方法は見つかるはずです。(要望や機会があれば公開しますが...)
Revスプールを使うための準備
Revスプールは、スプール本体とシャフト、スプールクラッチピンで構成されています。
ですので、購入しただけでは、リールに取り付け出来ません。
純正スプールから、ベアリング、Oリング、マグネットと金属のブレーキ・リングを外します。
ベアリングの取り外しには、スプールクラッチピンをベアリングリムーバーで外します。
純正スプールに付いているスプールクラッチピンは使用できません。(径が違います。)
必ず、Revスプールに取り付けてあるクラッチピンを取り付けて下さい。
マグネットの取り外し
次に、Oリングを外し、マグネットの取り外しです。
マグネットは直径が9.5mmあるので、エンジニア ネジザウルスXP PZ-56(3~10Φ)がオススメです。ネジザウルスの先端はラウンドしているのでズレにくいので傷がつくリスクを抑えることができます。
また傷が防止の為にもあて布をして、やさしく左右に捻るだけ、動きだしたら手で回しながら引き抜けば、取り外す事ができます。
(粘性の高い白色の接着剤で取り付けされています。)
取り外した マグネットの重さは 約5gもありました。
なお、金属のブレーキ・リングをスプールから取り外す際には、純正スプールを切断する必要があります。切断してからの方がマグネットも取り外しやすいです。
ブレーキリングの取り外し
ブレーキリングの外し方について質問があったので記載します。
上記のスプールを半分に切断した状態からの作業とします。
(分解していた時の工程を、写真に残せばよかったのですが...)
スプールはおおむね超ジュラルミンで出来ています。
超ジュラルミンは硬質な為、曲げると破断する性質があるので、そこを利用します。
- ピンクのラインのように放射状にハサミでスプールを切断します。
写真では8カ所を切っていますが、もう少し細かくても良いです。
放射状に切るのが重要です。 - 1カ所(写真では9時方向)を2mm幅位にハサミで切ります。
- 2で切った薄い幅の所を外側(スプール軸方向)に倒すと破断します。
- 3で隙間が2mm位空くのでそこに糸鋸で、スプール中心部を引きます。
スプールは0.5mm厚位なので0.3mm位キズを付けるイメージです。 - その後、写真の7時半方向の部分をペンチでつまみ
スプール中心部に向かって鋸で傷をつけた方向に引き裂きくように曲げていきます。(ダメな場合は 10時半方向でもう一度できます。) - 鋸で傷をつけた所が裂けてくるのでブレーキリングが剥離してきます。
剥離部分からめくるように剥がして行けばブレーキリングを傷つけずに取り外しできます。 - うまく裂けなかった場合は他の部分を使って 2からやり直してください。
この様にして自分は外してます。
剥がしたブレーキリングをシンナーで洗えば元の接着剤が取れるので完成です。
※これは、あくまでも自分のやり方です。失敗してもクレーム等は受け付けません。
事前の情報で、ある程度想像はしていたのですが、自分の購入した TypeBスプールはスプール内部の直径が合わない為、ブレーキ・リングの取り付けが出来ません。
※ 製品の取扱説明書に、きちんと説明書きが記載されています。
同様に TypeAスプールも浅溝なので取付できません。
TypeCスプールだと DCMD純正スプールと同じ糸巻量(直径)なので取り付けが可能です。
このブレーキ・リングが無いとブレーキが掛からない訳ではありませんが、付けないとDCブレーキの利きが少し弱くなります。
アルデバランBFSスプールみたいに、スプールのブランキングを施していない所を作れば導体として抵抗になると思いますが...
アンタレスDCMD用 38mmΦの浅溝スプールの場合、DCユニットからスプールまでの距離が離れすぎになるので難しいでしょう。
DCブレーキのブレーキリングは磁性体なので、非磁性体のスプール(ジュラルミン)ではブレーキが弱くなるでしょうね。
設計上、スプールの重量バランスを考えると左右対称にしたくなりますよね。
気持ちはよく分かります。
とりあえず今回は、金属のブレーキ・リング無しで試して見ます。
スプールが軽くなった事と、糸巻量が減っているので、慣性重量の減少に伴いブレーキ力が下がっても、どのくらい相殺されているのかが楽しみですね。
DCMDユニットはブレーキが強めなので何とかなりそうですが、EXSENCE DCユニットでどのくらい影響が出るのかが課題ですね。
だめならNモード、Fモードなどのモノフィラ・モード使えば良いだけですから。
後はキャストしながら考えてみることにします。
今回、18アンタレスDCMDの純正スプールを使用しましたが、9,200円(税別)と高価なので、マグネットだけを流用する場合は SLX DCスプール 7,200円(税別)を使用すれば少しは安く上がります。ベアリングなどは別で準備しなければなりませんが。
スプールの取り付け
純正スプールから、取り外した部品をRevスプールに取り付ければ完成です。
マグネットの取付には、瞬間接着剤やネジロックが推奨されています。
シャフトとマグネットの隙間が割と大きかったので、ネジロックは止めて瞬間接着剤を少しだけ塗って固定しました。
Oリングは、Revスプールには必要ないとの事なので取り付けていません。
これでスプールが完成したので、重量を計測してみます。
ライン無しの状態で 15.0gと 純正スプールと比べ 3.9gほど軽い
初回は純正スプール(PE2-220m)と比較する為に、PEラインを同じ銘柄・号数(PE2-160m)を巻きました。
巻いた状態でのウェイトは 23.2gでした。純正スプールとの差は 6.6gになりました。
しばらく使ってみて、最終的に PE1.5-200mでの使用を考えています。
18アンタレスDCMDに組み込んで...
さぁ準備万端
投げに行くぞ!! っと思ったんですが...
台風が接近中で投げられそうにありません。
週末アングラーなので、平日はなかなか厳しいですが来週末まで待てそうにないので、風のない日に早起きして投げてみます。
組み上げた翌日、我慢できず 17EXSENCE DCユニットを付けて 30分だけ試し投げしました。
スコーンと低い弾道で真っすぐ伸びて軽いスプールを実感、ブレーキが2段ほど上がる感じ、違和感は全くなかったですね。
キャスティング・テストです。
課題も見つかったので、修正しながら投げてます。
ブレーキリングを取り付けてキャスティング・テストです。
*1:ネジを回す方向が電流の向き、ネジが進む方向が磁界の向き